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ブックの説明
学術調査 Ⅱ 山形市の重要文化財「鳥居」の劣化に関する総合調査
本研究での調査対象は、山形県山形市鳥居ヶ丘
の住宅地にある石鳥居である(図1)。周辺一帯
の地名から「元木の石鳥居」、「元木の鳥居」など
の通称がある。鳥居は凝灰岩で作られ、大きさは
高さ351cm、左柱の径が97.1cm、右柱の径が
92.3cmである。元木石鳥居の正確な建立年代は不
明である。瀧山信仰の全盛期、天延年間(973-
976年)に瀧山大権現へ奉納されたという言い伝
えがあり、明確に建立年代等を示す文献や記録は
不明であるが、様式が古いことから平安時代末期
であると推定されている。明神系鳥居といわれる
この様式は、笠木の反りがわずかであり、木口が
垂直であることが特徴である。また柱間と貫下の
空間が横長である傾向が強い。これらは、特徴は
室町時代以前に多くみられたものであることから、
平安時代末期のものであると考えられている。石
造美術研究家 川勝政太郎によれば元木の石鳥居
は日本最古のものであり、大阪天王寺鳥居や大分
県の臼杵市深田の石鳥居よりも古いとされている。
元木石鳥居は1927年(昭和2年)に山形県の名
勝として指定されたのち、1937年(昭和12年)に
国宝指定の申請を行い、1952年(昭和27年)11月
22日に国の重要文化財に指定された。重要文化財
としての指定名称は「鳥居」である。所有者は小
立地区で、文化財保護法第32条の2の規定に基づ
く重要文化財の管理団体として山形市が指定され
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