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The Act of Consciousness in the Artistic Activity:
Focus on Husserl’s Theory of Intentionality
芸術活動における意識作用ーフッサールの志向性理論に着目して

Yushi KAJIO 梶尾悠史

本稿は、芸術家と通常の知覚者の間の事物を見る方法
の違いを論じる。とりわけ、画家が芸術活動のなかで対象
物にどう関わっているのかを明らかにする。この解明作業
にとって、エドムント・フッサールの志向性理論と抽象という
絵画的技法が導きの糸となる。
多くの人々が認めるように、画家はあらゆる偏見と先入
観から自らを解き放つことによって、作品のうちに対象物の
真の現れを表現する。その一方、ともすると常識から甚だし
く逸脱しているために芸術作品を理解することは容易では
ない。われわれの多くはそう考えるかもしれない。もちろん、
画家がキャンバス上に表現するのは、われわれが日常生活
や学問生活のなかで知覚するのと同じ物である。それにも
かかわらず、画家にとって対象物とは、日常言語や科学的
言語によって記述されるべきものではなく、ひとえに芸術的
な真理において実現されるべきものなのである。では、これ
はいかなる真理のカテゴリーなのか。
本研究は、芸術的真理を解明するとともに、画家が芸術
活動においてこの種の真理をどのように把握するのかを明
らかにしようとする。筆者の見通しでは、この活動は最も原
初的な意識作用を含んでおり、それは直接知覚にすら構
造的に先立つのである。

Keywords

① 現象学 Phenomenology
② エドムント・フッサール Edmund Husserl
③ 志向性 Intentionality
④ 知覚 Perception
⑤ 真理 Truth

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