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「少年事件」の社会的構築に関する研究
-「明倫中事件」をめぐる新聞報道を事例として一

片桐 隆嗣
KATAGIRI Ryuji

1. 問題へのアプローチ
(1)社会問題のとらえ方
本稿で論じる「明倫中事件」※'に限らず、「日常性=自
明性」を破壊する出来事が生じると、そこにはそれに付
随する形で様々な「問題」が語られることになる。例え
ば、「神戸児童生徒連続殺傷事件」では「ホラービデオ」
や「ニュータウン」の弊害が論じられ、現行の「少年法」
についての「問題」性が議論の的となった。また、「黒磯
の教師殺害事件」では「キレやすい少年たち」の「問題」
が指摘され、「少年たちのナイフの所持」や「それをチェッ
クするための学校での所持品検査の是非」が「問題」と
して議論されることになった。
それでは、そうした出来事に付随して生じる「問題」
も含めて、ある出来事が「問題」として語られるときの「問
題」とは、一体いかなるものであろうか。あるいは、そ
うした「問題」について、我々はどのように理解してお
けばよいのだろうか。まず、その点について考えてみる
ことにしよう。

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