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光のワークショップ

松村泰三
MATSUMURA Taizo

 光や運動を表現に取り入れ、また、そこから生じる視覚の問題を作品のテーマとしているが、このような作品を制作するようになったのは多くの光の体験をし、表現方法としての光に興味を持つようになったことが大きい。光は物質感がなく、それでいて存在感をもつ。また、光が引き起こす視覚的現象はより多くの表現を可能とする。しかし、芸術としての光の素材の扱い方や光の効果を体験する機会は非常に少なく、光を扱うことは難しく特殊なことと考えがちである。光を扱うことはそれほど難しいことではない。体験したことがないだけなのである。私自身が体験した光の引き起こす現象の美しさや面白さや、光を扱うことの楽しさを他の人にも体験してもらいたい。そのような思いから子どもを対象とした光を使ったワークショップを行うようになった。はじめのうちは自分の作品に関連づけた光の不思議な体験をさせるようなワークショップを行っていた。88年8月にこどもの城で行った「ストロボ光で遊ぽう」などがそうである。94年7月には美ヶ原高原美術館で「ヒカリキソ」という子どもに光の基礎を教えるという企画を行った。これは、いわゆるワークショップではなく展覧会のような形式で行った。ここではすべての光に対し、科学としてではない芸術としての光の基礎とは何かということを考えて、それらを体験型展示等でやさしく解説していく試みを行った。

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