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On the Specific Speeches Showed by a Mentally Retarded Person with
Autism in Block-Designing Constructive Activity
自閉的傾向の知的障害者が積木模様構成活動において示した
特異な言語活動について

KOMATSU Hideshige
小松秀茂

脳損傷患者の構成活動に関するA.R. LuriaやL.S.
Tsvetkovaらの研究に示唆を受けた我々は、「コース立
方体テスト」事態における知的障害児・者の構成活動を
発達神経心理学的な観点から分析することを試みてき
た。今回我々は、この構成活動の事態において特異な言
語活動を呈した自閉症的傾向を持つ知的障害者に遭遇し
た。彼は、その自閉症的傾向の故に、検査導入時の教示
の理解に困難を示し、検査実施が危ぶまれたほどであっ
たが、実際に検査が始まると、案に相違して、用意され
てある17課題すべてを解決し、田中・ビネー検査からの
予測をはるかに上回るパフォーマンスを示した。そのこ
と自体驚くべきことであったが、検査の中でのみ示した
彼の言語活動も、特筆に価する独特な特徴を持つもので
あった。彼の言語活動は、日常的生活でのコミュニケー
ション場面では、極めて不活発であったが、構成活動の
場面では、一変して、非常に活発な発話(独語)を伴わ
せ、むしろ多弁であった。そしてそのほとんどは、構成
見本の空間的な特性の分析や積木(構成要素)の方向操
作に係わるような表現ではなく、行動の開始や終了の合
図や確認のような表現、「自分の構成行動を実況中継(自
分自身を三人称で表現)」する放送アナウンサーもどき
の発話であった。彼のそうした言語活動の機能的性格は、
構成活動に必要な空間的な分析・操作を担う成分に奉仕
するものではなく、構成行動を企画・制御する成分に奉
仕するものであることが示唆された。

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