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民俗行事における外部者と情報保存における困難
-山形県上山市における民俗行事「加勢鳥」を事例に-
Outsiders and the Difficulty of Knowledge Preservation in Folk Event
- A Case Study of the Folk Event “Kasedori” in Kaminoyama City, Yamagata Prefecture -松田俊介
MATSUDA Shunsuke山形県上山市に伝わる民俗行事「加勢鳥」は、毎年2月11日に上山城下および、市街地で実施される「奇習」とされ、地域住民と多様な外部者によって営まれる、外部参加型の注目すべき民俗事例といえる。この行事では、地域内・地域外の出身者たちが、ともに「ケンダイ」という藁ミノをかぶって、奇声を発して街を練り歩く。加勢鳥は、江戸時代からの伝統を持つが、明治維新の折に廃止後、1959年に復活したという歴史的経緯を持つ。その後、保存会の手により改良を加えられながら、地域のあらゆる年代・立場の人々と、地域外の人々を参加者として積極的に巻き込みつつ、人気を博すようになった。
本稿においては、上山の加勢鳥を事例に、内部/外部の人々にいかなる関係性がありうるか、民俗行事の情報をいかにして保存し、継承していくかを追究した。 加勢鳥は、近代化による産業構造変化から、人口減少、コロナ禍を経て、地域行事の担い手が、他者性を受け入れることと、自文化の本来性を守ることとのせめぎあいをパフォーマンスの裏側に抱えてきた。民俗行事の情報保存においては、そうした社会的文脈をふまえ、民俗誌的な記述をあわせてこそ、はじめて動態性を帯びた情報として外部化できることを指摘した。Keywords
民俗行事 加勢鳥 来訪神行事 外部者 情報保存
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