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ブックの説明
死の表現者
― モーリス・ブランショの芸術論 ―
A Figurer of the Death
─ Maurice Blanchot’s Theory of Art ─本論文は、二十世紀フランスの思想家モーリス・ブランショの芸術論を、彼の前期の主著である『文学空間』にもとづいて扱っている。ブランショによれば、芸術家は孤独である。彼らは道具的労働世界から追放されて、孤独のうちで世界の「外部」と出会う。この外部とは、固有のものとならない「非人称的な死」である。ゴッホの経験とはまさにこの「非人称的な死」との致命的な邂逅であり、彼の人生はそれゆえその表現ないし作品化の試み(の失敗)であった。
ブランショの観点では、哲学者たちが「死」を自己の固有な一つの可能性として把握し、揚棄してきたのに対して、芸術家たちは死を同様に固有化(作品化)しようと試みながら、その試みの失敗および反復によって、死の固有化が不可能であることを示してきた。だがそうした固有化の失敗こそは、ブランショによれば、非人称的な死を「肯定する」ことになる。それは「他なるもの」をそれとして留保し、尊重する行為である。かくして、芸術の活動とはそのように他なるものと出会い、それを表現しようと試み、失敗し、それを繰り返すことである。これがブランショの芸術論である。We discuss the art theory of Maurice Blanchot, an influential
French thinker in the 20th century, with one of
his main published works, L’Espace littéraire. According
to Blanchot, the experience that occurs in an artist such
as Van Gogh is a fatal encounter with “the impersonal
death”, and then it took him his lifetime to attempt to express
it and to fail.
In Blanchot’s point of view, while philosophers grasp
and sublate the death as one’s proper possibility, artists
show with their failure the impossibility to appropriate
the death. So Blanchot thinks that artists affirms the impersonal
death and their activities are the movements to
pose or respect “the other” as such. Therefore the art is the
activities that encounter with the other, try to express it,
fail and repeat. This is the art theory of M. Blanchot.Keywords
哲学、フランス現代思想、芸術論、死、ブランショ
philosophy, French modern thought, art theory, death, BlanchotPDFはこちら
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