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山形県小国町岩井沢遺跡出土の後期旧石器時代前半期石器群の製作技術分析
An Analysis of Lithic Manufacture Technology in the Early Upper Paleolithic Period
-At Iwaizawa Site in Oguni Town,Yamagata Prefecture-

金 彦中
KIM Eonjung

東北地方の旧石器時代研究は後期旧石器時代の石器群を中心とした様々な研究が進められてきた(藤原1983、田村1989、佐藤1992など)。また、近年技術的観点から石器製作実験を導入する研究事例が増えている(大沼・久保田1992、鈴木他2002、長井2009、大場2018・2019など)。
しかし、これまで後期旧石器時代前半期の石器製作技術について、実験製作をもとに復元的に分析された事例は皆無であり、遺跡報告書においても個別の石器製作過程は記述されることはあっても、剝離手順や工程についてそして、接合資料などを通して述べたのが大半であるという指摘がある(佐藤2019)。
本稿では、以上のことを踏まえて後期旧石器時代前半期に属し、多量の石器の出土で知られる山形県小国町の岩井沢遺跡の遺物をもとに実験製作を通してその製作テクニックとジェスチャーを復元した。さらに、岩井沢遺跡における石器製作の意図や一連の行為について技術的視点から考察を述べることができた。
しかし、製作位置や細かな行動分析といったこれまでの研究を拡張することは遺物の分布や情報の不足などの理由によりやや難しい。また、実験考古学は過去の静的遺物や遺跡から動的な過去の人間活動の復元や人的・白然的影響過程をどれほど語れるのか実践的に研究する必要があろう。

Keywords

後期旧石器時代前半期、岩井沢遺跡、実験考古学、石器製作技術、テクニック、ジェスチャー

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