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史跡山形城跡における植生景観について
Vegetation Landscape of the Historic Site Yamagata Castle

山本 翔太
YAMAMOTO Syota

 近年では全国各地の城跡で史跡整備が進められ保存活用計画が作成されているが、城内に生育する樹木に関心が払われることは少なく、史跡における価値が認知されずに遺構の顕在化や修景などを理由に伐採されてしまうことがある。近世において城内に生育する樹木は建築材や食料となるだけでなく、土塁上の樹木については城外からの視界を遮る防備的な役割を果たし、また地中に下ろした根で土塁の崩壊を防ぐといった城郭の構成要素として様々な機能を有していたことが指摘されている(吉田2014・2018)。史跡整備においては史跡を構成する要素の歴史的な価値や位置づけを明確にすることが重要であり、これら城跡の樹木に焦点を当てた研究は今後の城跡における整備及び保存活用の取り組みに示唆を与えている。
 本稿では史跡山形城跡における近世から近代までの植生景観の変遷を踏まえ、現状の植生景観に対する歴史的な位置づけ及び価値づけを再確認した。対象として扱った資料はおもに文献史料、絵図や古写真などの画像史料である。その結果として、霞城公園二の丸土塁及び十日町の三の丸土塁にみられる現状の植生景観は植生を構成する樹種や歴史的な景観の変遷より、近世から近代までの植生景観との連続性や関連性が認められることを指摘した。

Keywords

史跡整備 山形城跡 植生景観

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