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Insights into Therapeutic Potentials of Arts in Japan
日本における芸術の治療的可能性に関する考察

Minatsu ARIGA 有賀三夏

近年、現代日本は、ストレス感情の情緒的暴発が若者に
限らず年長者にも広がりを見せ、社会問題となるほどに病
んでいる。各種の心理療法が今ほど必要とされてきてい
る時代はない。本稿で扱うアートセラピーとは、創作活動に
よって人間が潜在的にもつ創造力を喚起させることで、自
由な自己表現を通して精神的な癒しを深め心身を治癒し、
知能の活性化を図る心理療法である。日本では芸術文化
によって「癒やされる(ヒーリング)」という考え方はあるもの
の、能動的に「治療する(セラピー)」習慣はあまりない。そ
こで、日本で育まれた文化や伝統に基づく日本人特有の
「和」を尊ぶ精神と社会環境との融合を図りつつ、日本に
対応する芸術療法の可能性について考察する。
さらに本稿では、欧米型Art Therapyと日本固有の
Healing Art融合型、HealingArt Therapyの新概念・
理論を提唱し、それをPATH(Promotion: 促進, Art:芸
術,Treatment:手当て, Healing:癒し)Therapyと命名
した。その臨床実践例も紹介する。
今日、生活が便利になるにつれて一個人が日々の生活
の中で何かを創造する機会が漸減してきている。芸術療
法は人間が人間らしさを取り戻し、これからの時代を豊か
に生きていくための強力な方法論となることが期待される。

Keywords

Arc Therapy, He aling Arc, Japanese culture, Emotion

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