総ページ数

P10

ブックの説明

阿武隈川流域の縄文時代墓制の変遷
The Transition of Grave System in the Jomon Period at the
Abukuma River Basin

安田 楓加
YASUDA Fuka

 東北地方では、土器棺墓は一般的に子供の墓と考えられているが、福島県福島市宮畑遺跡のように、土器棺墓のみが検出される状況は不自然である。本研究では、土器棺墓と配石墓の両方が検出される越田和遺跡と西方前遺跡を対象に、土器棺墓の中に成人の再葬墓が含まれている可能性を検討した。
 検討の結果、大木9式から綱取I式古段階までの土器棺墓はほとんどが横位に設置され、この時期の土器棺墓は子供用の土器棺墓の可能性も成人の再葬墓の可能性もあるとわかった。綱取I式新段階で出現する配石墓は成人用の墓と考えられるため、この時期の土器棺墓は子供用だと考えられる。続く綱取II式では配石墓及び土坑墓が検出されない一方で、設置方向の異なる土器棺墓が多数検出される。従って、土器の容量に制限のある横位の土器棺墓が子供用、土器の容量以上のものが入る正位の土器棺墓が成人用の再葬墓である可能性を指摘した。

Keywords

墓制 配石墓 土器棺墓 再葬墓

PDFはこちら

PDFはこちらより閲覧できます。