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土製耳飾の形態分類による遺跡間関係の把握
-縄文時代後・晩期の群馬県域と長野県域の事例-
Classification of Clay Ear Ornament Forms and Designs Reveals Networks among Related Sites
- Cases of Gunma and Nagano Prefectures in the Late and Final Jomon Period -

松原 奈々
MATSUBARA Nana

 土製耳飾は縄文時代後・晩期の関東・中部高地の遺跡で大量に出土するが、地域間関係の検討が少ない。そこで、本研究では群馬県域・長野県域の「地域差」に着目し、両地域の影響方向や遺跡間関係の把握、さらに系列ごとの直径と数量の割合を検討し、年齢による付け替えと集団ごとの系列の組成の把握を行った。  
 まず、「内面刻目帯耳飾」は、長野県エリ穴遺跡で大量に出土する一方、群馬県域でも散見されるが変遷の初期段階がみられないことから、長野県域から群馬県域へ影響を与えたと考えられる。また、「一単位系列」耳飾は従来、長野県域から群馬県域への一方方向の影響が指摘されていたが(角田2021)、土製耳飾の周縁部の細分と地理的分布から、両地域間の相互の影響関係が明らかとなった。 
 次に、群馬県唐堀遺跡における土製耳飾の系列ごとの直径サイズと数量の割合から、主体・客体の検討を行った。そして、唐堀遺跡で数量が主体的な系列は唐堀遺跡の集団、客体的な系列は他から移入した集団が使用したと考えた。また、一つの集団で複数の系列の土製耳飾をもち、集団によって使用する系列が異なり、なおかつ集団内において、年齢ごとに異なる系列への付け替えが行われていた可能性が高い。

Keywords

土製耳飾 系列 地域差 内面刻目帯耳飾 一単位系列 集団の違い 付け替え 系列の組成

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